最近、私はスーパーの片隅にあった『ロブスター』に釘付けになった。
いつもは『ロブスター』は見て見ぬ振りをする、世界が違う金持ちの食いもんだ。
しかし、この日は『ロブスター』との距離が妙に近い。そう。一匹6ドル(2匹で11.76ドル)という破格の値段だったからだ。

人生初の快挙!!『激安ロブスター』を買ってみる。

突然やってきたロブスターを食うチャンスに私は戸惑った。
ほ、ほ、ほ、んとに食っていいんかと。
普段ならこれで32ドル(約3500円)は軽くする。この値段でエビ何匹食えちゃうかな?と考えると手も足も出なかった。
しかし今、ロブスターへ好奇心はできるだけ心にしまってきたのだが、その心の扉が開いちゃいそうだ。

自宅に『ロブスター君』がやってきた、その日。

そして、ロブスターが自宅の冷蔵庫にやってきた。
その日から、頭がロブスターのことでいっぱいになった。それ以来、私のパソコンの検索は『ロブスターの食い方』『ロブスターの歴史』『ロブスターの食いどき』にいっぱいになった。
そして、ロブスター君を観察するために開けてみたり、閉まってみたり、こんなことを2、3回繰り返し、今に至る。


初恋のロブスター君の裏側は、以外にもグロかった。
虫が嫌いな人が見たら、食えないだろうくらいの破壊力を持っていた。

ハサミで『えいっ。』

しかし、恋は盲目だ。
ネット学んだ『最大限にロブスターを食う技』を手にいれ、慎重にハサミで真ん中を切っていく。

やはり、安もんか!?『中身ドロドロ』

殻から出てきた中身に絶望した。プリンプリンのはずが、ドロドロしてやがる。
初恋は初恋のままでいいと。誰かが言っていた。
中身を知ると、本当にいいことない結果がこれだ。そこからはあまり覚えていない。自分のやり方を責めてみたり、ロブスター君の身のヤバさに絶望したりとモヤモヤしていた。


一心不乱で関係性を元に戻そうと、殻に戻してみたらマシになった気がした。
もう一匹の方がまだマシだったので、きっと私の剥き方がよくなかったかもしれない。そうだ。そうだ。私が悪いのだと思うことにした。

『秘伝のタレ』を塗りたくってみる。

そして、私には秘密兵器がある。
そう、タコスの素だ。
これは、古代メキシコ人が命がけで愛したスパイスが凝縮されているので、溶かしバターとガーリックと絡めたら、とんでもない兵器になるのはいうまでもない。


今までにないくらい優しく『秘伝のタレ』を塗りたくっていく。時間をかけてゆっくりと。
しかし、ガーリックの切り方が雑。という本来の性格が隠しきれていない。

気を取り直して焼いてみる。

オーブンに送り出した頃には、ロブスターへの不安しかなかった。
見た目が完全に悪い。なんとか隣のアスパラを見て平常心を保っていた。

早速食ってみる。

急遽、作った『マッシュポテト』と『グリーンピース』の助っ人もあり、それなりの見た目にもなった。特に、茹でて塩を振っただけの冷凍グリーンピースが、思った以上にうまかった。
殻のあたりから滲み出る『ロブスターへの素人感』が隠しきれていないが、初恋は誰しも不器用なもんだ。


食ってみると、期待をはるかに裏切ってくれた。


味は、エビの風味が凝縮した『柔らかいホタテの食感』というのが一番近い。
今までに食べたことがある味だが、なんか新しい食いもんという感じ。カニの味というよりは、エビとホタテの間の食い物だ。

結論:ロブスターに出会ってしまったら最後だ。

ここまで、ロブスターに一喜一憂すると思っていなかったのだが、これが糞ニートのできる技なんかと心底、暇な自分に驚くばかりだ。
しかし、あれほど期待していたのにもかかわらず、裏切らない旨さだったというのも忘れてはいけない。
今後は、スーパーでロブスター君に会うたびに、『嗚呼、食いてーな。食いてーな。』という爆発した下心とどう向き合うかが問題だが、今だに食って後悔はない。





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