最近、アメリカの『ポートランドの夜市(ナイトマーケット)』で、売り子になった。
知り合いの手伝いでワクワクしながら潜入したものの、日本とは違うアメリカ人(ポートランダー)の性質を目撃して終始圧倒されっぱなしだった。
マジの長蛇の列!!並ぶの好きな『ポートランダー』
ナイトマーケットは、夕方の4時ごろから夜の11時ごろまで。私は、夜の8時ごろに行ったのだが、ピーク時だったようで、すんげー人が並んでいた。もちろん、入るのは無料だ。(ファストパスは有料)
私はというと、入り口のセキュリティーの黒人さんに『今日は売り子で来たから、並ばずに入らせてくれ!』といったが、『売り子専用のタグをつけてないとダメ。』と断れる。
しかし、『信じてくれ!!友人は中にいる!店名は忘れたが。』という怪しさにも程がある言い訳で、渋々入れさせてくれたのだ。
その後、『売り子専用』のタグもらった私は、入れてくれた黒人さんに『本当に売り子だったっしょ?』というドヤ顔をしに行ったら、『ああ。』というそっけない返事をもらった。
客は声をかけられたいタイプが多い。
早速、知り合いのブースに行ってみると、人がすげかった。
知り合いがめっちゃくちゃ売ってる姿を目にして、完全にシャイになった。セキュリティーのおっさんにドヤ顔をしていた頃の自分が懐かしい。
『お前、このタイミングでシャイになってる場合じゃねーだろう。』という最悪のタイミングで、シャイな自分が現れて『アメリカ人たちも話しかけられたくないだろうな?うん。うん。』という勝手な言い訳をして、じっと客を観察していたのだ。
しかし、客の方から話しかけたり、目が合うとすんげー倍になって話が返ってくるではないか。
売る側と客との距離感が『友達感覚』である。
『客がめっちゃフレンドリーじゃないか。』と調子を取り戻した私は、ぐるっと他のブースの探検に行くことにした。売り子の手伝いに来たのに、手伝いそっちのけで『ブース鑑賞』を楽しむという荒業をやりのける。
無許可でバシバシ写真を撮っていると、『ねぇ!アナタ!今写真撮ったでしょ?』と言われて、ギグっとしたが、『その写真ちょーだい!』と言われる。
『おお!いいよ!』とさらに調子に乗った私は彼女を一心不乱で撮りまくる、最後は、全部の写真をあげたら、めちゃくちゃ喜んでいた。
元々調子に乗りやすい私は、アメリカ人の反応を見るたびに調子づいていた。自分で作ったわけでもないのに、客の反応で嬉しくなった。これだから、売り子はやめられない。
ちなみに、客はビール片手に商品を見ていくので、いつかこぼされるんじゃねーかとドキドキしていたが、案の定ビールをこぼされるという結末を迎えた。これぞ、アメリカあるあるだ。
ピーク時で、1分に1個は売れていた。
知り合いの作る商品は、特に売れていた。彼女は、愛想もいいし接客のプロである。ニコニコした顔に、可愛い猫のカードを売るブース。アメリカ人たちが食いつかないわけがない。
カード自体は6ドルからという価格だが、最終的に私が腰を抜かす程の金額を売ってのけていたのだ。マジですごいと思う。
オーダーメイドもできて人気なので覗いてみてね。↓
某アジア人が『日本のアニメお菓子』を売りさばく葛藤。
今回、モヤっとしたこともあった。『ナイトマーケット』は、器用なポートランダーたちが手作りのものを売る市場であるし、ほとんどローカルの人で賑わっている場所だ。
そんな中で、自分でゼッテー作ってねぇだろうよ?的な日本のお菓子が売ってあった。売り手も日本人ではない。
ここまでくれば、『セーラームーン』も同罪だ。セーラームーンのドリンクが大量に売ってあった。せめて、冷やすとかしたらまだマシだと思ったが。
そしてもっと悲しいことに、商品が売れていたということだ。
値段が一切書いていないので、かなりボッタクているに違いないだろうが、まー、売る商品も売れているんだらそれでいいかもだが、こういうものばっかりになったら、現地の『ナイトマーケット』には価値がなくなって、アマゾン品が並ぶぼったくり観光地化する。
その後、売り子の『親しみやすさ』に癒される。
でもまー、目立ってヤバそうな商品を売っていたのは、あの日本のお菓子のブースだけで、ほとんどは『手作り商品』だ。ポートランダーって本当に器用だよなぁ。と感心することがしばしばあった。
その上、親しみやすい人たちばっかりで、全員皆、仲間という気もしてくる。
今回の一番の見どころは『個性的な人たち』の出会いだった。
今回、一番楽しかったのは、客たちが個性あふれていたということだ。『変人であれ。』というポートランのスローガンにぴったりの人々がたくさんいた。
結論:売り手も買う側もお互いに表現し、終始ウカれていた。
最後にぶっちゃけると、ここのポートランドの『ナイトマーケット』は、マジで楽しい。
元々、人混み嫌いのオタク気質のヤツであるが、誰のことも気にせず、心から楽しめる場所が、このポートランドにはある。自己中で不器用な生き方しかできない人間たちが、お互いクソだと認識しながらも、気を許し合い適当に楽しんでいる瞬間だ。
みんなが『違う惑星から来た宇宙人』同士で、同じ空間をわちゃわちゃ楽しそうにしている空間がたまらない。どんだけ嫌気がさしてもこういう瞬間があるから、ポートランドを離れられない。
日本は『いかに頑張っているかの競争』で、ポートランドにいると『いかに人生楽しんでいるかの競争』になる。アメリカに来ると、今までの価値が全部ぶっ壊れて、未知なる宇宙人ポートランダーを見て、謎に居心地が良くなってるんだと思う。