金持ちと出会うまで『お金持ち=勝ち組』と思い込んでいた。豪邸にプール付き、キラキラした生活。完全に単細胞の私はいいなぁ。。と思っていた。
その概念を180度ひっくり返したのは、サンフランシスコで出会った『超お金持ち』のおっさんとの出会いだった。
金持ちのおっさんとの出会いは突然に。
人生の中でお金持ちに出会えるなんてそうそうない。
しかし、超金持ちとの出会いは突然だった。サンフランシスコの金持ちエリアで働いていた友人が『ここのビルのオーナーだよ』って紹介してくれた。
なぜに私に紹介してくれたのか??今でも意味不明だったが、これがサンフランシスコの不動産王との出会いであった。
アメリカの超豪邸におっさんひとりで住んでいた。
サンフランシスコの不動産王のおっさんは、50代前後で独身だった。ちょっと小太りのアラブの石油王という風貌。
超陽気なおっさんで、友達といろんなレストランに連れて行ってくれたりした。私も暇を持て余していたし、『ダダ飯が食える!』と誘われれば無邪気に遊んでいた。今で言うと完全な『港女子』に近い思考だ。
石油王は『今建設中だよ』言って、サンフランシスコの丘にある何個もの超豪邸を見せてくれたこともある。その度に『マジの石油王じゃね?!』と心の中でびびっていた。世界にはこんな豪邸をいくつも建てられる人がいるんだなぁ。。としみじみ庶民の私との格差を感じていた。
昼からひとりでテキーラ飲んで踊っていた哀愁が目にうかぶ。
石油王は、昼間からでも自分の所有するレストランに行きテキーラを飲んでいて、気分が良くなれば踊り出すという習性を持っていた。
今、冷静に考えると『よくぞまぁ、そんな50のおっさんに手出しされずに生きて帰れたな。』と思うが、石油王と遊ぶときは決まって彼が運営するレストランでご飯を食べて終わると言うのがパターンだったし、友達も連れて行ってもOKな人だった。
自分の貸している土地のレストランを回っては『自分は孤独じゃないんだぞ!』と周りにアピールして満足しているようにも見えた。そして、必ず頼むテキーラはそれを忘れるかのように飲んでいたような面影があった。
『金持ちの人って人間的に魅力がないのはなぜなんだろう?』と悩む日々。
知れば知るほど、どんどん哀愁が漂ってくる石油王。
彼とはたくさん食事したが食事をすればするほど、金(ただ飯)しか魅力がないことに気づいていていく自分がいた。
最初はこんなに金持ちだから面白い話が聞けるだろうと思って話していたが、彼の話は全く共感できなかったし、何一つ心から納得する話は得られなかった。逆に道で絡まれたホームレスのおばさんの話の方が100倍面白く、金がなくても彼女の方が人間味があった。
『人間的魅力があるマイルドヤンキー』が一番幸せなんじゃねーか?説。
どんなに金を持っていても人が寄ってこない石油王の出会いから、金がなくても周りにたくさん人がいるマイルドヤンキーってめちゃくちゃ幸せな人種なんじゃないか?と思えてきた。
田舎のマイルドヤンキー最強説は、真実味を帯びてきた瞬間でもある。
『金は全てを解決してくれない。』という考えは、なぜか寂しそうな石油王の背中を見て学んだ貴重な体験だった。