おそらく、「まあ、嫌いじゃないけど、大好物というわけでもないな」という方が大半ではないかと思います。そうでしょう、そうでしょう。大手牛丼チェーン店がしのぎを削っている日本では、牛丼はいわゆるファストフードのくくり。数ある選択肢のほんの一部に過ぎません。
…だが、しかし!これが人間不思議なもので、いざ食べられない状況になると無性に恋しくなる。アメリカに来て恋しくなった日本食の一つに私は牛丼を挙げましょう。昨今の日本食ブームも相まってか寿司やラーメンはレストランがあるけど、牛丼ってあまりレストラン無いしね。レトルトは肉の少なさに悲しくなるしね。そんなわけで、アメリカで牛丼、作ってみましたよ。
牛丼に必要な食材は?
何はともあれ、食材を入手しないことには作れない牛丼。牛丼に必要なもの、それは牛肉の薄切り。あとは玉ねぎ、他、調味料(砂糖、醤油、酒、みりん)。
ここで最初にして最大の難関となるのが薄切り肉を手に入れることです。アメリカでスーパーに行った方はお気付きでしょうが、日本でよく目にするパック入りの薄切り肉という商品、アメリカのスーパーではまず見かけません。
何故か?ここアメリカの地において、そんなもの使う料理は一般的ではないからです。では、どうしたら薄切り肉を手に入れられるのでしょうか?
薄切り肉を手に入れる方法
一番簡単な方法は日系、もしくはアジア系のスーパーで買うという方法。ここでは、日本の様に薄切り肉のパックが売っているので、それを買うだけでOK。何も頭を悩ませる必要はありません。
但し、日系ではなくアジア系で購入する際は骨がついていないか、傷んでいないかをチェックする必要あり。よく見ずに「牛肉の薄切りだー!」と買うと、家に帰って、いざ調理という段階で骨も一緒に薄く輪切りになってくっついている場合があります。あと、知人で買った肉が傷んでいたという人もいたので、その辺も一応チェック。日系スーパーで薄切り肉を買う難点は割高感ありというところでしょうか。
近所に日系スーパーとか無いし!車で一時間の距離にあるけど、車無いし!という方。安心してください。パック入りの肉が置いていないスーパーでも薄切り肉を買うことが可能です。それは、スーパーの精肉コーナーで注文をするという方法。
今回、私が利用したのがこの方法です。私はBerkeley Bowl(以下、バークレーボウル)というスーパーで肉を購入しました。ちなみにバークレーボウルはバークレーの東と西に店舗があり、西の店舗が新しく駐車場も広いです。
以下、アメリカの精肉コーナー(バークレーボウル)での買い方を例に挙げます。精肉コーナーに行くと、いろんな種類の肉がショーケースの中にずらりと並んでいます。肉の種類や部位などが色々あるので、まずはお好みのものを物色します。価格帯もピンきりです。
目星をつけたら順番待ちの番号札を引いて待ちます。電光掲示板のようなもので順番が表記されますが、番号呼んでも現れないと、店員さんが口頭で次々に飛ばして呼んでいくので、注意が必要です。番号が呼ばれたら大手を振って、自分だ!とアピールしてください。
1.店員さんに欲しい部位と重さ伝える。店員さんは何が欲しいのかを聞いてくるので、そこで欲しい部位と重さを言います。
アメリカでの重さの単位はポンド(パウンド)で、1ポンド(パウンド)は約450gです。
部位の発音に自信が無い場合は、ショーケースの肉の前まで店員さんを呼び、これこれ!と指をさすのが確実です。
2.スライスをして欲しいと伝える。そして、ここが山場!今回の重要ポイントです。店員さんに薄くスライスをして欲しい旨を告げます。私は適当に
とか聞いた気がします。店員さんは恐らく「勿論だぜ!どのくらいに?」的な返答をしてくれるはず。ここでの答え方は人によって色々です。紙のように薄く、という答え方もありますが、私は今回「like prosciutto (プロシュート(生ハム)くらい)」という表現を使いました。肉に携わる人間としては、一番イメージしやすいかと。結果、こんな感じに仕上げてくれましたよ。
スライスしてくれた牛肉。ほどよく脂身がある部位を選びました。
分かります?こーんなに薄く。いい仕事してくれました!
ここでポイントなのは、その精肉コーナーに業務用のスライサーがあるかどうかを確認するということです。スーパーではなく、こじんまりとしたお肉屋さんでは業務用スライサーを所持していなく、客のオーダーに対して自らの手で切って対応する店もあります。対応する店員さんが余程神懸かっていない限り、最薄でも生姜焼きレベルの厚さしか提供できません。
この方法は、日系・アジア系スーパーが無く、精肉コーナーでも対応してもらえなかった。しかし、どうしても薄切り肉を手に入れたい!!という場合にとる最終手段?です。それは、“自らの手でスライスする”という方法。しかし、包丁では限界があります。
そこで登場するのが業務用スライサー。そう、業務用です。アマゾンなどで探すと50~100ドルくらいで見つかるようです。中古店に行くと、もっと安く入手できる場合も。
この方法の難点は、業務用スライサーが場所をとる、手入れも含めて面倒くさい、といったところでしょうか。こんなことする奴居るのか?!とお思いかもしれませんが、割と田舎の方に住んでいて、今後アメリカに永住される方なんかは、myスライサー所持してたりするそうです。
牛丼を作ってみよう!
最大の難関である牛肉を手に入れてしまえば、あとは簡単です。調理するだけ。鼻歌交じりで完了。
牛丼作りに関しては、各自レシピを調べて作ってください。と言いたいところですが、この記事のタイトルが「アメリカで牛丼を作る~薄切り肉を手に入れろ!~」である都合上、レシピもざっくり載せておきます。あくまで我が家のレシピなので、お口に合うかどうかの保証は出来かねますのでご了承のほど、よろしくお願いします。
我が家の牛丼のレシピ材料【材料:牛肉1ポンド、玉ねぎ大1個、砂糖大さじ2、醤油・酒・みりん各大さじ3、(だしの素)】
くし形とか面倒な場合は5mmの薄切りでも良いですよ。[/タイトル縦線]
まだ赤み残ってて5~8割くらい火が通ったくらいで砂糖大さじ2を投入し絡める。
30秒~1分くらいで十分です。
みりんが家に無かったら入れなくてもOK。料理酒なかったらワインでもOK。赤ワインだと出来上がりが多少毒々しい色になりますが、あしからず。
水分量見て、煮詰まりそうな感じであれば、ひたひたになる位にだし汁入れてください。
お好みでもっと煮込んでも。いったん冷ますと味がしみ込むとか、しみ込まないとか。
完成。とりあえず、我が家の夫&娘は文句言わずに「美味しい」と食べてました。
え?生卵が欲しい?
上記の写真を見て「あれ?卵が無いんじゃないの?」と思った方。分かります。私も卵黄乗せて食べたい派です。
だがしかし!アメリカで生卵を食べるということは、とても危険なことなのです。何故なら、アメリカでは卵の生食文化が無いため、生で食べてもいいような処置がされていないのです。
オーガニックだろうが、鮮度が良かろうが、そもそもサルモネラ菌に対する処置がされてないから、生で食べるのは危険。まあ、自己責任でチャレンジする方も居ますがね。ちなみに、サルモネラ菌って殻の外だけじゃなく、内側にも存在するので、外側の殻洗ったから大丈夫♪ってもんでもないです。
それでも、どうしても生卵が無ければ牛丼と言えない!というアナタ。そんなアナタはパッケージに
Pasteurized eggsと書かれた卵を探してください。
これはUSDA が認可した方法で低温殺菌された殺菌卵を意味します。大抵の卵のパッケージには「絶対火を通して食べてよ!」的な注意書きが書いてますが、このパッケージの卵には書いてませんので、生食でいけるはずです。難点は、価格がお高いです。
以上、アメリカで牛丼を作る為の我流手引きでした。